母子保健

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   母子保健法とは?
母子保健法(ぼしほけんほう)は、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を図るため、母子保健に関する原理を明らかにするとともに、母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じ、もつて国民保健の向上に寄与することを目的として制定された法律である。
 目的法及び事業名 対象者 実施主体 検査項目
幼児の健康診査(1歳6ヶ月〔~2歳未満〕)児を対象にした健康診査のことであり、市区町村を実施主体として、1977(昭和52)年度にはじめられた。1歳6ヶ月頃は、幼児初期の身体発育、歩行等の運動発達、言語等の精神発達のチェックが容易になる時期であり、各種の障害や発達の遅れを早期に発見し、適切な措置を講じやすい。また、離乳食から幼児食への切り替えや虫歯予防、排泄のしつけ等について保健指導しやすい時期である。2005(平成17)年の受診率は全国91・5%であった。 1歳6ヶ月を超え満2歳に達しないもの(幼児) 市区町村福祉部門
〔義務・努力義務〕
★身体発育状況
★栄養状態
★脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
★皮膚の疾病の有無
★歯及び口腔の疾病及び異常の有無
★四肢運動障害の有無
★精神発達障害の状況
★言語障害の有無
★予防接種の実施状況
★育児上問題となる事項
★その他の疾病及び異常の有無
3歳児健康診査(3歳〔~4歳未満〕)児を対象にした健康診査のことであり、1961(昭和36)年度に始められた。3歳頃は、人間としての各種の機能を獲得し、より自立して独立していく時期であり、身体障害、発達の遅れ、行動上の問題など発見しやすい。そこで、身体面の健診に加えて、言語発達、運動機能、視聴覚機能、情緒、習癖、社会性など精神面の発達、歯科等に関する幅広い一般健康診査が現在は市区町村が実施主体となって行われている。2005(平成17)年の受診率は全国88.9%であった。  3歳を超え満4歳に達しないもの(幼児) 市区町村福祉部門(義務・努力義務) ★身体発育状況
★栄養状態
★脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
★皮膚の疾病及び異常の有無
★耳、鼻及び咽頭の疾病及び異常の有無
★歯及び口腔の疾病及び異常の有無
★四肢運動障害の有無
★精神発達の状況
★言語障害の有無
★予防接種の実施状況
★育児上問題となる事項
★その他の疾病及び異常の有無
就学時健康診断 小学校に入学する前年の11月末までに市町村教育委員会が実施する。学校保健法により、子どもの心身障害や疾病を発見し、就学指導を行い、通常学級、特別支援学校(旧・盲学校、ろう学校、養護学校)、特別支援学級への就学が決められる。個々の子どもの状況をふまえ、最終的には親の意向を尊重して決めることが望まれる。
小学校へ就学する直前の幼児 市区町村教育委員会(義務) ★身体発育状況
★栄養状態
★脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
★皮膚の疾病の有無
★眼の疾病及び異常の有無
★耳、鼻及び咽頭の疾病及び異常の有無
★歯及び口腔の疾病及び異常の有無
★四肢運動障害の有無
★精神発達の状況
★予防接種の実施状況
★育児上問題となる事項
★その他の疾病及び異常の有無
 
妊婦・母性の健康診査 流早産や妊娠高血圧症候群、未熟児出産などを予防するためには、ハイリスク妊娠を可能な限り早期に把握し、妊婦の健康管理の支援を推進したい。そこで一般の病院、市町村保健センター、母子健康センターなどで行われている。妊娠週数(注4)に応じて、問診、診察、検査、計測などを行い、妊娠経過を観察し、合併症やその他の異常の発見に努め、必要な指導や治療を行う。妊娠満23週までは4週間に1回、妊娠満36週以降は1週間に1回が望ましい。診査結果や指導事項は母子保健手帳に記載される。2007(平成199年度以降は妊娠中、原則として5回まで無料で受診できるようになった。ただし、市町村事業であるので、無料となる回数も含め、具体的な実施状況は市町村により異なる。 母性 市区町村福祉部門(義務・努力義務)  ★問診
★診察
★検査
★計測
★疾病の有無
★妊娠経過の観察
★合併症やその他の異常の有無
その他の母子保健法における事業
生前診断 出生前の胎児や胎芽などの病気(染色体異常、遺伝病、形態異常など)の有無や程度、性別などを診断すること。ほとんど副作用のない一般的な超音波検査のほか、羊水検査などは、必要な時に妊婦(高年妊婦の染色体検査など)の希望により行われる。より専門的である、妊娠8~11週に検査可能な絨毛診断、確定的な診断情報を提供する胎児血採取、胎児皮膚検査などは、高度な技術が必要なため、大学病院など一部の病院で実施される。また母体血清マーカー検査では、妊婦の血液検査だけで胎児の異常の確立がわかる。しかし、出生後の診断は、治療や療育を行うために実施されるのに対し、出生前診断は人口妊娠中絶に結びつく危険性がある。これは障害児が生まれる権利を奪う危険性と、ことに安易に行われて確立のみわかる母体血清マーカー検査は、妊婦に不必要な不安のみ与える危険性がある。
新生児マススクリーニング 生まれつき代謝異常などがある子どもを新生児期に発見、治療を開始するための集団検査である。生後4~7日の新生児のかかとから、濾紙に採血したものを検査する。現在の受検率はほぼ100%である。早期に治療を開始すると知的障害などが予防できるフェニルケトン尿症、楓糖尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症が1977(昭和52)年から、クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)が1979(昭和54)年から、先天性副腎過形成症が1988(昭和63)年から検査され、心身障害の発生が防止、軽減されている。これらの疾患の治療については、小児慢性特定疾患治療研究事業などで、医療費の自己負担分が公費により給付される。




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