電源ノイズについてのまめ知識


普段あたりまえに使っている電気。 最近は自動車でもエネルギー源として利用されている。

オーディオマニアでは電源は鬼門と言われているらしい。 つきつめれば、トラック用バッテリーでステレオを鳴らしたり、1m何万円もする電源ケーブルをアンプに使ったり。
たしかにその効果はあるそうなのだが、ここでは電源(電気)が元で発生する諸問題と手軽な解決方法をお話しよう。

仕事柄、業務用コンピュータを扱うが、5年ほど前までは小型冷蔵庫くらいの大きさのマシンを設置する場合、通常の100Vでもブレーカーを分ける電気工事を別業者に依頼していた。 そのときのユーザーへの説得資料をこのほど見つけたので転載します。(ちょっと年代は古い)



電源の品質
100Vの電源で、0.1秒程度でも80V付近まで下がっても、照明や冷蔵庫を使えますが、 コンピュータはリブート(再起動)することがあります。
このようにコンピュータには他の電気製品よりも質の高い電源が必要になります。

停電
最近は、電力会社の管理や機器の信頼性が高くなってきたので、停電の頻度は大幅に減少し、停電時間も短縮されています。(93年度全国平均で年間 0.3回、20分程度と言われています)
しかし、停電がゼロでない以上被害を最小限に押さえる対策が必要です。
また、雷のよく発生する地域では停電の危険性が高いので、さらにしっかりした対策が必要です。

瞬低、瞬断
”瞬低”とは、瞬間的な電圧低下のことで、電圧低下の時間が短い(数msec〜数百msec程度)瞬低では日常生活で使う照明、冷蔵庫、テレビなどはほとんど影響を受けません。
瞬低も停電と同様にどうしても避けられない電源障害の一つです。
災害などで各所の電源供給が不安定になると、コンピュータはリブートすることがあります。
このような事態はいつ発生するかわからないので、実際の運用にあたってはさまざまな状況を想定した対策を考える必要があります。

電源変動と電源降下
100Vで供給されている電源も、供給状況や使用状況によって電圧が大きく変化します。
95〜105V程度の変動は当たり前で、場合によっては90〜110Vと大きく変動します。
海外の製品でも定格電圧が115Vや120Vの製品を100Vで使っていると、ちょっとした電圧変動でも動作が不安定になることがあります。
また、分電盤のブレーカーまでは十分は電圧が供給されていても、ブレーカーからコンセントまでの配線が細かったり、長かったりすると、電線自身の電気抵抗の為に電圧降下が起こることがあります。

電圧変動と、電源降下が重なると、80V〜85V程度まで下がったりします。ここまで電圧が下がると多くの機器で問題が起き、コンピュータがリブートする恐れがあります。


と、まあ一般家庭ではここまで神経質になる必要は無いが、供給される電気は万全ではないということを分って欲しい。
業務用では停電対策として、自動車用バッテリーを2個ほど連結したUPS(無停電装置)という機械をコンピュータの電源に繋げて、電源障害が発生すると自動的にバッテリーに切り替わり正規の終了操作を自動で行うような仕組みを組み入れるのが当たり前だ。
理想的ではあるが、どんなに安くても10万くらいする。

個人で所有する設備としては過剰なので、せいぜい1万円以内の対策で十分であろうと考える。

デジタル表示テスター \2,000- 〜 \6,000-

疑惑は裏付けをとらねばならない。 まず測定しよう。
テスターと聞いてビビることなかれ。 安くてもオートマチックのテスターが有る。
宜野湾市伊佐の「沖縄電子」やホームセンターの電気部品コーナーにて販売されている。
アンプの音が歪みっぽかったり、コンピュータがよく落ちる(再起動)する場合、これでコンセントを計ってみて「90V」とか出ればあきらめもつくもんだ。
表示が針式だと単位が表示盤いっぱいに書かれているため読み方がよく分らん。
オートなら、設定するダイヤルは、

AC 「交流。 コンセントに調べるときにダイヤルを合す。 98V以上ならまずOK」
DC 「直流。 電池の残量を調べる時にダイヤルを合す」
Ω  「抵抗値。 スピーカーの抵抗を計る。 あんまり使わない」
タッチコンタクト 「導通。 ケーブルの断線を調べる。 つながってたら音が鳴るタイプが使いやすい」

あとは本体から生えている黒と赤のケーブルの先端(針状)を計りたい先に差し込めばOK。
ライブハウスなどは、リハの時はちゃんと100Vが流れるが、客入れ後にキッチンや空調が稼動すると90Vくらいに低下るところもあるぞ。 今は亡き酔ingがそうであった。


ノイズフィルター、(サージフィルター込み) \3,000- 〜 \6,000-

蛍光燈からのノイズは「ブーン」とか「プチプチ」とスピーカーから出る。 冷蔵庫やクーラーのコンプレッサーが動き出す時は「ポッン!」とスピーカーから鳴る場合もある。 録音中は非常に困るのだ。 強烈すぎて電波となり本体内に直接飛び込んでくるノイズの場合はどうしようもないが、電源ケーブルを伝ってくるノイズは市販の製品でかなりカットできる。
パソコンショップとかが安価であろう。
小生は、録音時は常にオーディオテクニカの AT-NF58(\5,200-)を使用している。 冷蔵庫やエアコンからのポン!というノイズは大幅に低減された。(他の製品でもマニュアルには消えるとは書かない)
AT-NF58

これとは別に、1個500円くらいの使い捨てフィルターもある。雷対策用だが、三つ又コンセントみたいな形で、中にヒューズが入っているもの。 電源を通して来る雷電流をもしかしたら防ぐ。 保険だ。 しかし自宅近への直撃の場合は不可。 これもパソコンショップの周辺機器コーナーにあるよ。
ご自慢のビデオデッキを守ろうとして電源フィルターを挟んでたらBSアンテナから放電が入ってデッキがパーになった話もあるぞ。 やるならぬかりなく。

この前の台風18号の最接近中に、自宅向かいのアパートに2回も落雷があった。
住民との交流も無いので被害状況はわからないが、電気製品は大ダメージだろうな。
コンセントを抜くか、雷用ヒューズ内蔵のコンセントじゃないとモデムはまずパーだね。
雷は電話回線にも飛び乗るぞ。
くわばら くわばら



2002/1/5 加筆
このページを見た読者から、用語の指摘があった。以下に内容を添付する。
電源ノイズの豆知識大変興味深く読ませていただきました。

ちょっと気になったことがありますのでメールしました。

瞬低、瞬断とご説明されていますが、きわめて短時間の電圧降下は「瞬降」、停電を
「瞬停」というのが電気機器業界では一般的です。

おせっかいかもしれませんがお知らせまで。



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